漢方医学を学ぶ獣医師のブログ

漢方医学、ペットの健康情報、コラム

犬の心臓病と漢方薬

ワンちゃんの心臓病。小型犬に多いのが僧坊弁閉鎖不全症。投薬を続けているご家族も多いと思います。心臓病の治療には、しっかりとした診断と西洋薬の正しい服薬が大切です。ピモベンダンが発売になってから肺水腫になるワンちゃんが激減しました。その後更に治療法も進み、心臓病の手術も行われるようになり、様々な選択肢が増えました。

最良の西洋医学的治療をしても浮腫(むくみ)や咳をうまくコントロールできないことがあります。また、そんなときに漢方を使ってワンちゃんの体を楽にしてあげることができます。また、心臓病を持ったワンちゃんは血液循環が悪くなるので冷えることが多く、漢方薬の出番になります。

ただし、電解質異常を来し、不整脈を招くおそれのある「甘草」が含まれていないことが肝心です。心臓病のワンちゃんに私が良く使う甘草が入っていない処方をご紹介します。以下がその例です。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
茯苓飲(ぶくりょういん)
真武湯(しんぶとう)
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)                  
木防已湯(もくぼういとう)

生薬は穏やかと言いますが、副反応は西洋薬とそれほど変わりません。使い方によっては薬にも毒にもなりますので注意が必要です。また、心臓病に漢方薬を使うためには、西洋医学東洋医学療法の正しい知識と経験が必要です。