ねこちぐら獣医師ペットヘルスケアブログ

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【犬・猫】悩みの多い下痢の原因と対策

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犬、猫とも下痢が食べ過ぎや、水の飲み過ぎなど明らかに原因のある場合は、食事を一食控えるだけでよくなります。元気も食欲も普段通りあり、嘔吐が伴わない場合は慌てて病院にいかず、食事を控えて様子を見ても良いでしょう。

しかしながら下痢しやすい、しつこい症状でなかなか治らいことも多いです。

 

 

下痢とは

下痢は便に含まれる水分が増えて、便が軟らかく液状になる状態をいいます。正常な便に含まれる水分の量は約70%です。腸の中で異常が起き、小腸や大腸で水分が吸収できないことで起こります。
【便の状態の比較】
軟便(水分量70%)・・・形はあるが、いつもより水分が多く柔らかい便
泥状便(水分量80%)・・・形はなく泥のような状態の便
水様便(水分量90%以上)・・・水のような状態の便

 

下痢の原因

消化吸収不良

犬と猫の下痢の中で特に多く見られます。急激にフードを変えた、食べ過ぎ、消化酵素が少ないなどが原因です。腸の中での消化・吸収力が落ちてしまうと、消化されていない物が腸の中に残り、内部の浸透圧が上がります。すると腸の中に過剰に水分があることになり、それが便と一緒に体の外に出されて下痢になります。

 

細菌やウイルスによるもの

細菌:サルモネラ菌大腸菌なども下痢を引き起こします。
ウイルス:パルボウイルス、ジステンパーウイルス、コロナウイルスなどに感染すると嘔吐を伴う下痢を起こします。死に至ることもあります。

 

寄生虫によるもの

小腸や大腸に寄生虫がいると下痢を起こすことがあります。
回虫、鉤虫、鞭虫、マンソン裂頭条虫、コクシジウム、トリコモナス、ジアルジアなど

 

アレルギー反応

食べ物の特定のたんぱく質に反応してアレルギーを起こし、下痢を起こします。

 

ストレスによるもの

精神的な問題で下痢が起こることがあります。

 

毒物などによるもの

殺虫剤等や、ある種の植物を食べることで下痢が起こることがあります。中毒症状も一緒に起こることが多く、命に関わることもあります。

 

その他の原因よっておこる下痢

好酸球腸炎、膵炎、胃腸の腫瘍、悪性リンパ腫やI炎症性腸疾患など

 

下痢の治療

消化吸収不良

1回食事を抜いて腸を休ませます。そのあとは食事の量を減らし、徐々に普通の量に戻しましょう。普段から消化管に負担をかけないようにすることが大切です。一過性の下痢はこれでおさまる場合が多いです。

 

アレルギー性

特定のたんぱく質を除去した除去食やアレルギーに対する療法食を与えます。ほとんどの場合生涯にわたりこの食事になります。

 

細菌性、ウイルス性

細菌性の下痢では抗生物質や抗菌剤を使います。
犬パルボウイルス感染症、犬ジステンパーウイルス感染症、犬コロナウイルス感染症、猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)などがあります。治療は対症療法および細菌感染を合併することが多くその場合には抗生物質を使うこともあります。感染しないように定期的にワクチン接種をしましょう。

 

寄生虫

検便により寄生虫を検査し、駆虫剤の投薬により寄生虫を駆除します。

 

ストレス

何がストレスになっているか見極めることが大切です。できるだけその状況にならないような工夫をしてあげましょう。また普段から遊びや散歩の時間を増やしてあげることも大切です。犬らしく、猫らしく暮らせるような住居環境を整えることでストレスが起こりにくくなります。

 

毒物など

口に入らないように、管理をしっかりすること。農薬の中毒から守るためには放し飼いをしない。ネコちゃんは観葉植物や生け花などの植物に対する中毒が多いので更に注意が必要です。

 

そのほかの原因によるもの

それぞれの病気によって治療法が異なります。
かかりつけ獣医師と相談しながら進めましょう。

 

下痢の際の食事管理

下痢は犬も猫も最も番動物病院に来院する症状だという調査がペット保険のアニコムから出されています。下痢に対する食餌は療法食以外でも市場にいろいろ出回っています。下痢用のフードは消化しやすい、脂肪の量を減らす、腸内環境に配慮などの特徴があります。これらのフードを与えることは単純性の下痢であれば回復の手助けをしてくれます。

ただし「どんな下痢にも良い効果がある」というようなオールマイティーの下痢用フードはありません。特に長期にわたる下痢が続いている場合、フードは正しい診断を受けた上で症状に合ったものを選ぶべきです。