ねこちぐら獣医師ペットヘルスケアブログ

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【猫の骨関節炎】 あまり動かなくなったのは年ではなく「痛み」かもしれません

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動物は体が痛いと動かなくなる

「うちの子、年だから。」飼い主さんからよく聞く言葉です。しかし20歳近くでも元気に動き回る猫ちゃんもいます。実は猫ちゃんの体のどこかに痛みがあって、そのためにじっとしている可能性があります。

猫は体が柔らかいので、関節の病気になりにくいと思わがちですが、12歳以上の高齢猫の90%が骨関節症であるという調査の結果があります。四肢の手首、肘、膝に症状が良くみられます。また、腰のあたりの異常もよくみられます。

※猫の骨関節炎とは変形性の関節疾患のことをさします。

 

【猫が四肢関節炎と診断される割合】

肩関節 5%
肘関節 50%
手根関節(手首)20%
股関節 5%
膝関節 35%
足根関節(足首)35%

(出典 mvmVol.30 No.195 2021/3)

 

関節炎が起こりやすい種類の猫

猫種では先天的に関節の異常のあるスコティッシュフォールドでは100%、日本猫で64%、アメリカンショートヘアーで62%に見られると言われています。最近流行のマンチカンスコティッシュフォールドと軟骨や骨の形成不全が多い猫種だということが判っています。

猫は犬に比べて身軽で柔軟、運動能力も高いため気づきにくく、家で寝ていることが多いため痛がっていることがわかりにくいですが、実は慢性の進行性の関節炎を患っていることが想像以上に多いのです。

 

痛みがある場合の症状

高いところにのぼらなくなった。
高いところから下りられなくなった。
走らなくなった。
寝ている時間が多くなった。
グルーミングをしなくなった。
トイレに入るのが大変になった。
体を触ると嫌がる。
歩き方がおかしい。
爪とぎをしなくなった。※
遊ばなくなった。

※猫は爪とぎをしないと爪が丸く、太くなります。これには関節の痛みが隠れている可能性があります。気がついたら動物病院へ行きましょう。

 

 

猫の骨関節炎

原因

加齢によって関節の軟骨が弾力性が亡くなる、軟骨が石灰化する。過度な肥満。骨折や捻挫、膝蓋骨脱臼、股関節形成異常などにより関節に負担がかかるなど。

 

診断

触診や歩き方のチェック、レントゲン検査を行います。

 

治療

抗炎症鎮痛剤による痛みを取る。運動療法やリハビリ。肥満の場合は減量。
サプリメントや療法食により関節機能の維持や保護。EPADHAの投与。

 

nekochiguravet.hatenablog.jp

 

家庭で行うケア

痛みのある時は抗炎症鎮痛剤の投薬を行うことが大切です。痛みのコントロールをしながら、猫の場合は適切な体重管理をする、ネコちゃんが過ごしやすい部屋になっているか見直してみましょう。

例えば、トイレやキャットタワーなどの高さの調整やフローリングなどの床材の変更関節保護をするなどです。関節用のサプリメントや関節疾患用の療法食を与えるなどの対策も行いましょう。

7歳位の高齢期に入って、恒例の夜中の運動会をしなくなった、動くことが少なくなった場合は骨関節炎であることがよくあります。10歳前後で加齢により猫ちゃんが動きが少なることはありません。また、たまにでも後ろ足をひきずったり、前足をあげたりすることがあれば、どこかに痛みがある可能性があります。

またスコティッシュフォールドマンチカンは(そのミックスも)幼少の頃から注意していく必要があり、症状が出た後の飼育環境や介護方法など飼育してすぐから考える必要があります。

骨関節炎を完全に治す方法はまだ見つけられていませんが、早期発見や普段からのケアにより痛みが出にくい体作りをしていきましょう。